2015年05月09日
2015.05 お茶とスイーツと八十八夜♪
静岡スイーツ部 静岡では春の訪れをお茶を製茶する香りで感じるという人も少なくはありません。静岡県が生産量日本一を誇る緑茶は4月~5月にかけて、特に八十八夜前後が最盛期です。牧の原、掛川、川根、藤枝、本山、両河内、日本平…といったお茶の産地では毎日のようにお茶摘みが行われています。
刈られたお茶は地区の工場へ集められ製茶され、出荷されていきます。手摘みをする場合は、基本となるのが「一芯二葉」。静岡弁でみるい=やわらかい新芽のいちばんやわらかい部分を摘み取ります。(Photo参考)
もちろん機械やハサミを使って摘み取りが行われています。平地の茶畑では、ロボットみたいな機械がものすごい速さで茶を刈り取っていったりもします。静岡と言えばサッカー、みかん、エスパルス、富士山、うなぎパイ…といったいろいろな名物が思い浮かびますが、全国的に圧倒的な知名度を誇るのはやっぱりお茶です!
(ここまで摘むのに1時間程度。なかなか増えません。)
(山の斜面を利用した茶畑のため、想像よりも足を踏ん張らなくてはいけない。=翌日の筋肉痛を覚悟)
もっとお茶のことを知るため、今回はお茶と食をつなぐ会主催のお茶ツーリズムに参加し、両河内の豊好園さんを訪問。静岡のお茶の魅力をお伝えしたいと思います!…とその前に、最近のお茶の消費傾向をおさらいしておきますが、
緑茶、紅茶、ウーロン茶などの国内消費量は平成16~17年の合計15万トン超をピークに平成25年では11.8万トンに。緑茶の購入量も昭和40年には1世帯あたり2,133円だったものが平成25年には874円に。ペットボトルのお茶など多種多様な楽しみ方が増えたので一概には言えないのかもしれませんが、お茶の置かれている環境も年々変化しているようです。(どちらかと言うと、厳しい方へ)
(*全国茶生産団体連合会・全国茶主産府県農協連連絡協議会ホームページよりhttp://www.zennoh.or.jp/bu/nousan/tea/seisan01b.htm)
(お茶摘みツアーの茶摘み風景)
そんな状況の中で、大規模栽培を行う牧の原などとは異なり、品種や品質で勝負しているのが豊好園さん。市場ニーズを読みながら、お客様が必要としてくれるお茶を一生懸命つくっているというマーケティング的な発想をもった若きお茶農家で豊好園代表の片平次郎さん。年々変化するマーケット環境を的確に読もうという姿勢がとても素晴らしいと思いました。
作り手の理論だけではなく、買い手のことをしっかり考えること。これって、基本的なことだと思いますが、なかなか実践できることではないと思います。
このツアーのもうひとつのビッグイベントは、豊好園さんのお茶をツアー参加者自らが淹れていただくお茶会です。静7132というお茶。(これはJAしみずが主体となって「まちこ」という商品名で売り出しているそうです。)一煎目、二煎目、三煎目と飲み進めるたびに、変化する味がおもしろく、注ぐお湯の温度にも気を付けないと渋みが出たり、お茶の味を存分に引き出すことができないなど、お茶はまさに生き物。猛獣使いの気分で心してお茶を淹れないと痛い目にあいます。静岡市民として、子どもの頃からお茶には慣れ親しんできたつもりですが、まだまだ知らないことも多かったようです。幸いなことに、日本茶インストラクターやお茶の販売をしている方が参加していましたのでおそわりながら淹れてみました。うまいっ!
さて、今回はお茶ツーリズムということで、お茶摘みがメインイベントだったのですが、同じくらい注目していたのが、タルトクリエイター新田さんがつくるお茶に合うタルトです。過去にも何度かプロジェクトPで紹介してきましたが、今回も期待を裏切りませんでした!お茶にあわせるために、洋菓子であるタルトに和のテイストを織り交ぜながら、お茶との相性を考えてつくられています。
桜の花びらが入っているタルトは、今回使用したお茶が桜の葉に似た味わいのあることからつくられました。和のテイストを感じたのはそれだけではありません。隠し味には白みそが使われています。これぞ、隠し味!すごく効いていました。(▼)
もう一点は、静岡の紅ほっぺを使ったタルトです。完熟した紅ほっぺがほんのりと口に残り、こちらもお茶にマッチしています。(▼)
お茶は健康にいい!とか言われていますが、それだけではありません。おいしいスイーツと一緒に飲んだり、自分で淹れてみたり、ちょっとしたお茶会を開くのもきっと楽しいはずです。
産地や品種を変えて飲むだけでも、新しい発見はいろいろあるはずです。
お茶の話をなぜこの時期にするのか!?それは、この時期がお茶にとってもっとも最適な時期だからです。お茶がもっとも良いとされるのは八十八夜の頃。ちなみに八十八夜は立春から88日目で、今年は5月2日。天候も安定してきて、特にお茶の大敵である『霜』がない春から夏への節目の時期です。
毎年初取引は、マグロほどではありませんが、ご祝儀相場で通常より高く取引されます。通常価格になってからでも、この時期がやはり1年のうちでももっとも高く取引されています。言い換えれば、茶農家さんの1年はここ1ヶ月で決まると言っても過言ではありません。1年間かけて手をかけている茶畑ですが、実際はたった1ヶ月で、1年の大半を稼がなくてはいけません。
そんな大事な時期、まさに寝る暇を惜しんで、お仕事をされるそうです。
Photo:写真提供 静岡県観光協会
そして、世界へ羽ばたく静岡茶!?
・・・で、生産量の話に戻りますが、やはり日本茶は需要低迷と言われています。…が、世界に目を向ければ、日本茶はこれからの期待の星です!和食が世界で注目を浴びる中、日本茶が注目されないはずがありません。海外からも視察に訪れる人はたくさんいるようです。
日本茶ブームが世界で巻き起これば、静岡の名も全世界に発信されるはず!農林水産省の資料でも2012年の海外への輸出額50億円に対し、2020年の目標は150億円。
茶器や和菓子、食文化とセットで売り込む戦略で、日本茶を世界に広げていく方針です。民間レベルでも静岡のメーカーではドリップ式のお茶を海外へ売り込もうとするなど、日本の習慣だけではなく、海外で受け入れられるように各社がんばっているようです。健康志向の追い風に乗って、日本茶はまだまだ海外で伸びるのではないでしょうか!?
豊好園さんはじめ、静岡県のお茶関係者のみなさん、
ぜひこれからも国内のみならず世界へおいしいお茶を届けてください!
おまけ
打ち上げは静岡の海の幸がおいしい清水銀座の居酒屋「こさむ」へ。生しらすに、生桜えび、地元でとれたイナダや倉沢鯵など次から次へ。さらに、お茶もいいけど、お酒もいい!ということで一行は、静岡の地酒で乾杯。まさに、満腹ならぬ、満福ツアーとなったのでした!
Special Thanks !お茶と食をつなぐ会
お茶と食をつなぐ会主催の第4回お茶ツーリズム「次郎さんのやまかい」に参加させていただきました。東京方面や、遠くは岡山から参加者が静岡を訪れました。
お茶と食をつなぐ会Webサイト「Chaplus/チャプラス」
http://chaplus.net
くわしくはWebサイトをご覧ください。
※この記事は2015年5月に作成されました。掲載内容は当時の情報です。